《第二楽章》はモーツァルトを超える ライヒャ:チェロ協奏曲集

現代作曲家の視界で捉えられた、前期古典派チェロ協奏曲の演奏

いやはや現代ではチェロ協奏曲は愛好されないのか、ヴァイオリン協奏曲のきゃんきゃんした演奏が喜ばれていて低音から高い音まで奏でることが出来るチェロの音を怖がる若いリスナーがいるほど。メカニカルな音のほうが受け入れやすいのだろうか、チェロの音は官能に直接働きかける。

クラシック音楽の協奏曲で最も数が多いのがチェロ協奏曲。需要が高かったためでもあり、王様、貴族のお楽しみレベルから、名手の超絶技巧を満足させるための曲までバラエティが広い。このヨーゼフ・ライヒャ、チェコ風にはライハと呼ばれていた時期が長い作曲家は、モーツァルトより4歳早く生まれ、4年後に亡くなっている。ちょうどモーツァルトとすっぽり重なります。多くの作曲家が数多くのチェロ協奏曲を作曲している中で、唯一残っていないのがモーツァルト。作曲はしていますが楽譜は現在未発見のままです。それが出てくれば面白いことに成るでしょうが、そのかわりに十分過ぎるライヒャのチェロと管弦楽のための協奏曲3曲が聽くことができる。曲が持っている官能なのか、指揮者の趣味なのかはわかりませんが、現代作曲家のアンドレ・クカルはこのCDでも官能まさる音楽を披露しています。

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ピリオド楽器で演奏されれば又違った味わいになるでしょう。三曲共に桁外れの秀曲ですが、二台のヴァイオリンのための協奏曲、それをヴァイオリンとチェロで演奏している二曲目が聞きものです。アレグロ楽章ではヴァイオリンとチェロのユニゾンがゲシュタム・ジャンプを開く。管弦楽が刻むのはモーツァルトの『魔笛」の有名なフレーズ。どうも当時馴染みのあるリズムだったようです。終楽章のロンドも、モーツァルトの狩りのリズムですが技巧的過ぎる。ライヒャの楽譜以上に演奏家たちの個性あふれているようです。第二楽章のロマンスだけ抜き出して、シューマンの未発表曲だと聞かされても、バロック音楽に疎かったらまともにされそうなくらいです。

世情をモーツァルトは意識していたのか、ハイドンのボヤキが忘れられなかったのか。ライヒャの評判を聴いていただろうから尚更、チェロ協奏曲を書く必要は無かった。

演奏

Soloist:
  • Mikael Ericsson, ミカエル・エリクソン violincello
  • Jana Vlachová, ヤナ・ヴラチョヴァー violin
Orchestra:
Czech Chamber Orchestra チェコ室内オーケストラ
Conductor:
Ondrej Kukal オンドレイ・クカル

曲目

  1. Concerto for Violincello and Orchestra in A major, Op.4 No.1
    1. Allegro moderato
    2. Largo maestoso
    3. Rondo. Allegro
  2. Concerto for 2 Violins or Violin, Violincello and Orchestra in D major, Op.3
    1. Allegro
    2. Romance. Andante
    3. Rondo. Allegro
  3. Concerto for Violincello and Orchestra in D major
    1.  Allegro con brio
    2.  Adagio
    3.  Allegro
Composer:
Josef Rejcha ヨゼフ・ライヒャ(レイハ)(1752~1795)

プロダクト

録音: (P)
1995年2月26,27日、5月9日、9月23日 プラハ,マルチーネク・スタジオ
Format
DDD/ステレオ
Label:
Supraphon
Catalog#
SU 3873-2
Genre:
Classical, Concerto
Release:
2006-04-28
Times:
1:09:38
Discs:
1 CD

More information:
http://www.supraphon.com/en/catalogue/on-line-database/detail/?idtitulu=2008604

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